ブラームス作曲交響曲第一番
第一楽章冒頭のテンポについての考察:
この楽章の最初のページ、普通ならAllegroとかAdagioとか書いてあろう場所に
Un poco sostenuto
とだけ書いてある。
Un poco sostenutoとはどんなテンポなのであろうか?
遅いのか、速いのか。
残念ながらどちらでもない。
Un poco sostenutoは遅くなる時に使われるからだ。
つまり、あるテンポがあって、そこから遅くなるのである。
だからこれだけではどれくらい遅いのかは見当がつかない。
しかしブラームスには明白だったはずである。
つまり、ブラームス的には、Un poco sostenutoの表記無しで取るテンポが明白なはずだ。
そしてそれはAllegroとかのサインからではなく、別のところから察する必要がある。
まずはこれが序奏だと言う事。
つまりAdagioあたり妥当な線という事だろう。
多くの曲が、あまりに多くの曲が序奏をAdagio指定している。
だからAdagioを遅くするんだ、、、という意見は至極まっとうだと思う。
でもこんな結論しかないなら、わざわざ書きません。
実は今回は他の要素を検討してみたいのです。
それは拍子記号。
6/8
これ実は2拍子です。6拍子ではありません。
したがってまず普通にAllegro系の2拍子として曲が始まると思ってください。
付点4分音符=100くらい?
速すぎ!
だいたいそれじゃぁ主部のAllegroと差ないじゃん。
そうですね。主部が付点4分音符=100くらいが一般的かな。
そうでした。しかしUn poco sostenutoしてみたらどうですか?
さらに、序奏としての厳かさを演出してみては?
付点4分音符=60くらい?
まだそうとう速い。
でも基本のテンポからは相当遅くなったけど、、、、
ここでノリントンが言っていた事を思い出した。
「Steinbachは6で振ってもいいけど、2拍に感じられなければならない、と言っている。」
これってつまり2で振れないもしくは振るのが難しいテンポで、且つ、無理なく2拍子である事が感じられるテンポまでは遅くなっていいって事だ。
個人的には
8分音符=110以下だと完全に6拍子になってしまう。
110でも6拍子だと思う人がいてもおかしくない。
しかし
8分音符=140と超えると6で振る意味はないと思う。
手が速く動きすぎで、見づらいし、フレーズもなにもあったものじゃない。
そうすると
8分音符=110~140の間で決まりそうだ。
それにしても、140くらいのテンポて何処かで、、、
あぁ、そうか、第一楽章の結尾Meno Allegroのテンポじゃないか。
あぁ、そうか、つまり最初と最後が同じテンポなんだな。
あぁ、そうか、いきなり曲の冒頭にMeno Allegroって書けない、しかもAllegrettoでもない。
Menoって書いたら意味不明だから、Un poco sostenutoなんだ。
というわけで:
冒頭のテンポは
8分音符=110~140の間
で結尾のテンポは冒頭と一緒。
という事で私が取るのは、、、、、
勿論。。。。。
ところで、
ベートーベンのエグモント序曲もAllegroとかの指示ないよね。
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